離婚戦略

離婚の戦略

 離婚したい理由と、あなたが離婚に際して利用できそうな口実は、出揃いましたでしょうか?
 そこまで準備できたら、次の段階に進みます。

 蓮沼式離婚メソッドによれば、離婚はただすればいいものではありません。離婚には原因があり、プロセスがあり、結果があります。とにかく別れさせて「ハイよかったですね」で済ませてはなりません。

 あなたが終わらせたい「現在」は明らかにできました。
 では、あなたが希望する「未来」は何でしょうか?

 離婚を戦争に喩えるなら、これは政治的な意義・目的や大義名分の次にくる「戦略」の部分です。大方針といってもいいでしょうか。どんなに優れた離婚戦術があっても、戦略がなければ実を取ることはできません。
 離婚情報を提供するサイト、離婚を進める手助けをする興信所や弁護士はいくらでも見つかりますが、離婚の前後におけるあなたの幸福感の向上、戦争における実質的な成果に着目してくれるところは、ほとんどありません。
 だから、あなた自身がよく考えなくてはならないのです。

 離婚そのものは単純なプロセスです。しかし、その後の人生は、女性によってさまざまです。
 もう金輪際、男なんていらない! と独身で生きていかれる方もいらっしゃるでしょう。かと思えば、既に再婚相手を見つけていて、その人と添い遂げるつもりという方もいらっしゃると思います。
 大切なのは、ビジョンです。何度でも申し上げますが、離婚は「戦争」なのです。ビジョンなき戦争は、荒廃しか生みません。創造なき破壊は、ひたすらに不毛です。

あなたの理想と現実を思い描く

 あなたが理想とする生活はどんなものでしょうか。
 一年後に離婚が実現した場合、あなたは朝、どんな風に起きて、それから何をしますか? 出勤しますか? では、子供の世話は誰が? あなたの傍には、新たな男性がいますか? 朝食を作るのは誰ですか?

 この質問に明確に答えることができますか?

「出勤は……します。自分で稼がないと、でも特にスキルもないし、再就職できればいいけど」
「子供の世話は、自分でしたいけど、実家とも険悪だし、正直誰に頼むか、見当もつかない」
「今は新しい男性のことなんて考えられない」
「朝食とか家事は、私がやるしかないのかなぁ」

 こんな状態で踏み切っていいのでしょうか。
 もちろん、先が見えなくても踏み切るべき場面はあります。暴力浪費に悩まされている場合は、一刻も早くその状況から脱するべきです。ただ、そうでない場合には、少し立ち止まって現実を見るべきです。

 例えば、あなたにお子さんがいて、まだ二歳だとします。保育園に預けることもできますが、やはりある程度は世話をしてくれる人が必要でしょう。それに幼い子供は、母親を必要としています。
 ですが、働いて収入を得なくてはなりません。しかし、あなたが前の会社を結婚退職したのは五年前で、キャリアに中断があります。今からだと、派遣社員の事務職を探すくらいしかないかもしれません。
 そう考えると、看護師のような高額収入を期待できる資格を持っていなければ、この先は大変厳しいことになります。子供は育てば育つほど、お金を必要とします。仮に大学まで卒業させてやろうと思ったら、何百万円かかることでしょうか。こうした見通しの厳しさから、中には自ら夜の世界に飛び込むシングルマザーもいるくらいです。
 元夫に養育費を支払わせるのはもちろんですが、わざわざあなたが離婚を決断しなければならないような人物ですから、こうした方面で信頼を寄せるわけにはいきません。きっと彼は、あなたの困窮をあざ笑うに違いないのです。
 では、他に頼れる人はいるでしょうか? 実家の親が精神的にも経済的にも健全なら、一時的には助力を頼むことができます。子供の世話から住居の間借りまで、いろいろと頼りになることでしょう。友人でもいいのですが、こちらは余程の付き合いでもなければ、一夜の宿を借りる程度にしか役立たないと思うべきです。
 或いは、新たな夫になりそうな素晴らしい男性がいるでしょうか? ですが、その男性は本当に信用できますか? 離婚前のあなたと付き合うということは、不倫です。もちろん、既婚者になってから真実の愛に出会ったということもないでもありません。だとしてもルール違反を犯しているのです。本当にあなたを、そしてあなたの連れ子を大切にしてくれるでしょうか?

 考えることがありすぎて途方に暮れるのはわかりますが、思考停止してはいけません。
 一つずつです。分ければわかる、これが鉄則です。

 離婚に際して、たいていの女性はどこかで「リソース不足」に悩まされることになります。
 もともとリソース不足で、例えば夫が家事育児を手伝ってくれずに寝る時間がないとか、浪費を繰り返すのでお金がないとか、そういうところからスタートするのです。そこで夫だけ家庭から切り離しても、問題が何もかも解消することは稀でしょう。
 特に浪費癖がある場合、なぜ離婚を急ぐかというと、このリソース不足を時間と共にどんどん深刻化させていくからです。

 よって何がどの程度不足していて離婚後はそれがどれだけ厳しくなるかを考えてみるのです。
 皆さんが困るポイントというのは、だいたい似たり寄ったりです。そして、実のところ、そんなにたくさんの課題があるわけでもありません。

収入の問題

 まず、女性の悩みのトップバッターは、なんといっても「収入」です。
 自分に稼ぎがあれば旦那は不要……
 至言です。ほぼ全女性の共通認識といってもいいくらいです。

 しかし、特に既婚女性が稼ぐのはなかなか難しいです。もともと夫婦ともパワーカップルだったりして、既に潤沢な貯金があり、子供の世話もシッターさんに頼む余裕があるような場合であれば、既婚女性でもほぼキャリア中断なしで働けて、収入を落とさずに済むのですが、そんなのはレアケースです。
 よくあるのが、出産を機に退職して、一時的に専業主婦になるというパターンです。せっかく正社員だったのに、これでキャリアはパー。次に就職する時には、派遣社員からやるしかありません。当然、特別なスキルがない場合には、給与水準はバイト並みです。
 しかも、子供が熱を出したりなど、トラブルがあるたびに職場を抜け出して駆けつけたりもします。その分、どんどん時給から削られていきます。
 では、どう打破すればいいのでしょうか?

 →女性の収入については、こちら

育児の労力を調達する

 続いて既婚女性を悩ませるリソース不足は、なんといっても「労力」です。
 外で働いて、その間、子供を保育園に預けていたとしても、帰ってからの時間はすべて子供のために使わざるを得ません。部屋の掃除も行き届かず、料理もおざなりになって、洗濯物は溜まる一方。いつも寝る時間がなくて、バタバタしている……
 夫が協力的だったりすればこんな問題は起きないのですが、わざわざ離婚するくらいですから、そんな恵まれた状況なはずもなく。
 つまるところ、これは人手がなければ解決しないので、どこかから助力を得るしかありません。自分でやる場合は、働く時間を削るしかなくなりますが、それは即ち、更なる収入の低下を意味します。
 何かの方法で収入の低下を補うか、労力をどこかから調達するか、そのどちらかでなければ、乗り越えることはできません。

 →労力の問題については、こちら

心の痛み

 この二つを除くと、実はあとはそこまで大きな問題がないのです。
 但し、あなたの心を傷つけ、大いに悩ませてはいます。それは非常に厄介なノイズです。

「だって夫は、私が育児で苦しんでいた時に、他の女と……!」

 まずは怒り。そして……

「私ってそんなに価値がない女だったの? どうして……」

 悲しみ。更に……

「離婚したとして、これから先、どうやって、何のために一人で生きていくんだろう……」

 絶望と孤独があなたを締め付けます。
 つまり、あと一つの問題とは、あなたの「こころ」の問題です。
 これがあなたの健全な思考力と行動力を、更に失わせている要因なのです。蟻地獄のようにあなたの足を止めてしまうので、こちらもケアが必要です。

 →心の問題については、こちら

戦略的な問題が片付けば、あとは方法論だけ

 いかがでしょうか?
 もちろん、それ以外でも困っていらっしゃることでしょう。例えば、離婚の手続きはどうすればいいかとか、そもそも決め手は何にするべきかとか、裁判に持ち込んだほうがいいのかとか、そういうテクニカルな問題も残ってはいます。
 ただそれは、上記のような「戦略」方針が決まってから考える「戦術」の部分です。大枠が決まってからなら、いくらでも戦い方を考えることができます。

 さて、あなたが気になるのは、どの問題でしょうか?
 早速、解決方法を考えていきましょう。

 ビジョンができたら
 →実践! 離婚の戦術
 をご覧ください、

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離婚の準備:収入の問題

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