離婚において、やってはいけない作戦

離婚の戦術

 夫が嫌い!
 顔も見たくない!
 一秒でも一緒に過ごしたくない!
 離婚したい!
 っていうか、死別したい!
 私は死にたくないから、夫に死んで欲しい!

 ……という女性の声は、重々承知しております。
 蓮沼も個人的にしばしば利かされています。よくあることですよね。

 が、しかし、やっぱり離婚という問題を考える上では、やってはいけないことというものが存在します。
 ここではそれらを列挙して、念を押しておきたいと思います。いずれもあなたを不利にするからです。

殺しちゃダメ

 夫を殺してはいけません。
 殺したいのはわかります。でも、ダメです。

 まず、肉弾戦はいけません。カッとなってゴルフクラブを振りかぶって殴りかかる……でも、あなたに心得があるのでもなければ、そんなので夫は殺せません。それどころか、暴力のスイッチが入った夫は、簡単にあなたから凶器を奪い取るので、逆に殺されてしまいます
 男女の身体能力にどれくらいの差があるかは、別のところでも取り上げました。素手で殺しあったら、平均的な体重・体格の男女であった場合、明らかに女性の方が不利です。私は前に、空手黒帯の女性が一般人の男相手に、一方的に殴り倒されるのを見たことがあります。女性としては強かったのでしょうが、生まれ持った体格の違いはいかんともし難いものがあります。
 理不尽に思うかもしれませんが、例えば野生動物……ライオンなんかは、別に筋トレなんかしていません。なのに、生まれつき強いのです。そういうものなので、戦ってはいけません。

 もっと攻撃力のある方法を使えば、殺せるのでは……
 寝ているところを刃物で襲えば、確かに勝率は高いでしょう。しかし、そんなことをしたら確実に警察に捕まります
 事故を装って自動車で撥ね飛ばしてしまえばいい? 無駄です。これもバレます。あなたに殺意がなければ、相手を轢きそうになった時点でブレーキを踏むでしょう。すると車体が沈み込んで、バンパーの位置が下がります。警察は必ず被害者の体の傷の位置を確認しますから、傷から判断してバンパーが沈み込んでいないと判断できる場合、あなたが思い切り吹っ飛ばしたことが、すぐわかります。また、二度、三度と車の下敷きにすれば、それも判明してしまいます。

 なら、毒殺すれば……
 実は、毒物は私達の身近にいくらでもあります。あなたは大人でしょうから煙草も買えます。煙草を解して水に漬け、焦げ茶色のドロドロになったのを針先に絡ませて、あとは夫にプチッと刺せば、死ぬかもしれません。
 食中毒も狙えます。水仙にも彼岸花にも、球根には毒があります。「食べられる野草を拾ってきたはずが毒だった」みたいな嘘を用意して、それらしいものを採取してくるのも方法でしょう。
 しかし、この場合でも警察はあなたを疑うでしょうし、何より毒は、確実性に欠けます。

 想像してみてください。
 殺し損ねた夫が半身不随になったら、配偶者たるあなたが、死ぬまで介護しなければならなくなるんですよ!

 というわけで、当サイトとしては、夫の殺害には賛成しかねます。

とにかく不当なやり方はダメ

 また、あなたとしては苛立ちをぶつけているだけと思うかもしれませんが、あまりにやりすぎると、これもあなたの失点になりかねません。
 妻からの精神的暴力が離婚の原因になったとして訴えられるケースもあります。

 なら、勝手に離婚届を出すというのは?
 夫の意思なんて知ったことか、と。こんな奴、捨ててやる!

 気持ちはわかりますが、これもアウトです。

 離婚届を受け付ける役所の窓口では、提出書類に不備がないかは確認しますが、夫婦の離婚意思や、署名が本人のものであるかどうかを確認することはありません。よって、あなたが勝手に離婚届に記入し、提出しても、その場では受理されてしまいます
 しかし、本人の同意なしに書類だけ提出しても、家庭裁判所に申し立てをされれば、手間はかかるものの無効化されてしまいますし、あなたが文書偽造懲役刑を科せられます。初犯であれば執行猶予はつくと思いますが、長ければ懲役5年なんてのもあるくらい、これは重い罪です。

 夫に復讐したいにせよ、制度の枠組みの中でやらなくてはいけないのです。

逆に夫が勝手に離婚届を出したら

 仮にもし、夫が勝手に離婚届を出そうとしているのなら、すぐに本籍地の戸籍係に協議離婚届書が提出されても受理しないで欲しいという書面(不受理届)を提出してください。そうすれば、夫が離婚届を提出しても、受理されなくなります。
 この不受理届は、提出後六ヶ月以内は離婚届の受理を阻止できます。更に受理を阻止し続けたい場合には、また同じ不受理届を提出する必要があります。

 これは、あなたがその離婚届に自分で署名・捺印した場合でも同様です。あなたが夫に離婚する意思のないことを告げていても、それでは不十分です。もし先に夫が届出を出してしまった場合、離婚の効力が発生してしまいます。

 ですが、その場合でも、離婚の合意がなかったことを証明できれば、無効にできます。
 夫が離婚の合意がなかったことを認めている場合には、家庭裁判所の調停で片付きますが、解決できない場合には、家庭裁判所に離婚無効確認の訴訟を起こすことになります。

 もっとも、離婚届を偽造する時点で、あなたの署名でないことはすぐバレますし、ある意味、復讐するまでもなく、夫が自分で墓穴に落ちていくことになるだけですが。

 夫に復讐したいという場合には、よくよく考える必要があります。
 人を呪わば穴二つともいいますから、慎重な判断をお勧めします。

離婚とペット

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