離婚ノート

離婚すれば慰謝料がもらえる、くらいの認識で迂闊に裁判に踏み込むと、手痛いしっぺ返しをくらうといういい例です。契約書があっても、その契約自体が不当とされたり、裁判所を介入させたばっかりにヘソクリがバレたりと、損をすることもあるのです。

離婚を計画的に行うことによって財産処分して債権者から逃れたりするのは、詐害行為にあたります。そんなのすぐバレるので、やっても無駄なことが多いです。ただ、実際に持分がちゃんとあって、離婚の相手方に分配する十分な根拠があれば、問題になりません。

離婚時の財産分与に伴う不動産譲渡には、注意してください。あまりにおかしなやり取りをすると、その分が税金になって跳ね返ってきます。ただ、夫の側にかかる税金と、あなたの側にかかってくる税金と、種類が違いますので、よく区別しておいてください。

離婚したくてもお金がなくて、生きていけない……司法は、そうした問題についてもちゃんと考えています。一方が離婚によって過酷な状況におかれると予想できる場合には、扶養的財産分与ということで、夫に妻の扶養を命じることができるのです。

不倫の代償は大きい、といいますが、こと慰謝料に限って言えば、そんなことはありません。相場からすると、決して（あくまで他と比較した場合ですが）高額とはいえないお金しか取れません。離婚に至らなかった場合、更に安いです。その理由と根拠とは……

一般に、夫婦関係破綻後の不貞行為は、責任を問われません。従って、慰謝料も発生しません。でも、知らないと付け込まれてしまいます。ナンパ師の夫を利用してのゆすり、たかりとか、とんでもない事件まで起きるのです。離婚というのは、本当にいろいろあります。

不貞行為の慰謝料は、事実をつかんだらグズグズしていてはいけません。妻が知った瞬間から時効がカウントされるからです。どうせ慰謝料で取れる金額なんて、たかが知れています。我慢の限界まで待たず、証拠を固めてすぐに夫と愛人を訴えましょう。

慰謝料は、目に見えるもの以外については、あまり高額にはなりません。ここではセックスレスと暴力についての事例がありますが、重視されているのはいずれも物的損害、実際の肉体の損傷などであって、精神面については、大きな額が動くことはありません。

慰謝料についての基本的な判例を二つ、並べました。財産分与とは別に計算・請求できること、離婚後の時効は３年で、離婚成立から起算することなどが見て取れます。ただ、慰謝料というものは高額になりにくく、離婚の主役でないことは心に留めておいてください。

実質的に妻が共同財産を利用して婚姻費用を賄うことができる場合、改めて婚姻費用の負担を夫に求めることはできません。いえ、できなくもないのですが、その主張が通るとは限りません。いずれにせよ、財産分与の段階でリセットされると考えてください。